スタバではグランデを買え!
- 作者: 吉本佳生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2007/09/14
- メディア: 単行本
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お店で売ってる価格は、なぜその値段なのか。ペットボトルのお茶はスーパーで98円で自販機で150円なのに、なぜ自販機のお茶は売れるのかとか。
結局、人が購買行動に走る価値観として「実際の価格」+「その取引をするための取引コスト」の合計でものを考えるということ。
人がものを買うとき、貨幣以外にもいろんなものを使っている。代表的なものは、お店に行くまでの交通費とかそのための時間とか。あと、買ったものが本当に自分にとって価値のあるものなのかよくわかんないリスクとか、お店に自分の欲しいものがなかったらどうしようというリスクとか。
とにかく、取引コストという点に注目したのが、この本の特徴だと思う。
特に印象に残ったのは、次の一節。
(子供の医療費の無料化について)医療費の無料化によって確実に起きることは、さほど必要がないのに病院に通う人が増えるということです。薬局で市販の薬を買うよりも、病院で診てもらって薬をもらうほうが安いのです(タダだから当然ですが)
(中略)
長期的には、こういった政策に対して小児科医の人数がどう変化するのかも大きな問題ですが、短期的に問題となる点が、はっきりと2つあります。ひとつは、混雑の激化によって、急いで処置をすべき患者(乳幼児)への対応が遅れるという点です。
もうひとつは、とても大きな不公平が生じるという点です。
(中略)
ここで、図にあるように、年金暮らしの祖母が子供を病院に連れて行ってくれるケースと、忙しく働く母親が子供を病院に連れて行くケースを比較します。祖母のコストはほぼゼロであるのに対して、病院の混雑が予想される場合には、働く母親は仕事を休んで病院に連れて行くことになりやすいでしょう。
第8章 子供の医療費の無料化は、本当に子育て支援になるか? より
つまり、医療費の無料化が医療の取引コストを高め、しかもこのコストは年金暮らし世代のいる家庭や専業主婦家庭には軽く、共働きや母子家庭には非常に重く負担がかかるような仕組みになってしまう。
お金の問題はお金で解決できるが、取引コストの多くはお金ではない。代替不可能ないろんなものを奪っていく可能性がある(職とか)。
取引コストは、その人その人の事情によって一様でないことも重要だ。
なんでも計算しなくちゃね。