合コンの社会学

 合コン行きたい。

合コンの社会学 (光文社新書)

合コンの社会学 (光文社新書)

 社会学というか、民俗学というか。合コンについての証言をたくさん並べて分析している。かつて昔分析された夜這いの民俗学のようになるためには、いささか匿名性が高くて厚さが足りないが、それでも面白い。

 恋愛における「三低(低姿勢、低依存、低リスク)」志向という低リスク路線で行くか、「運命の物語」でどかんとハイリスクながらもドラマチックに行くか。その選択は、給料が安くても「やりたいことをやる」か、やりたいことでなくても、「公務員」志向でいくかという選択に類似性を持つ。

 団塊ジュニア世代とは、空前の就職氷河期のなかで「はしご」を外され続けてきた世代である。彼らに共通するのは、旧来の価値観に対する不信感である。社会の流動性が高まると、人は少しでも流動的でないものを求める。その中で、確固たるものを自分の中に求めたのが「やりたいこと」志向であり、社会の中に求めたのが「公務員」志向であった。確固とした「やりたいこと」、または確固とした職場のいずれかを手に入れることで、彼らは流動的な社会の中で何とか正気を保とうとしてきたのである。

 補論 合コン世代の仕事と恋愛―自由と安定の狭間で より

 正気を保てた自信はありません先生。

 「やりたいこと」志向にふりきれ、刹那的に生きる「自己実現ワーカホリック」も問題だ。「公務員」志向にがんじがらめになりながら、石橋を叩きながら生きるのもつまらない。「運命の物語」だけを求めて年を重ねる重田加代子のような人生も疲れる。好きでもない「三低の男」と結婚生活を続けるのも味気ない。ならば、そのあいだをかいくぐりながら、ほどほど自由に、ほどほどに安定を求めながら生きてみよう。

 補論 合コン世代の仕事と恋愛―自由と安定の狭間で より
 
 「自由」と「安定」の狭間で、ふらふらと、もにょもにょと、そんな風にロスジェネは生きていく。
 
 様々な大前提に裏切られつつ、特定の大前提に依存せず、自由に、打算的に。

 テーマを決められ、計算されたセッティングの○○系合コンに、運命の出会いを期待してみたり、パートナーを求めつつ、むしろ合コンそっちのけで同性との反省会を楽しんだり、仮面をかぶったり、役割分担したり、合コンそれ自体が自己目的化したり、やがてそれに飽きたり。
 まあ、楽しければいいんじゃない?