「社会を変える」を仕事にする

「社会を変える」を仕事にする――社会起業家という生き方

「社会を変える」を仕事にする――社会起業家という生き方

 本書は筆者の自叙伝ではあるが、いわゆる成功方程式ではない。筆者が様々な「イタイ」目に遭いながらも、愚直に進んでいく姿のみが描かれている。当然、彼と同じようにしたからといって、同じ結果が出るとは限らない。あるいは、もっといい方法が存在しうるのかもしれない。
 本書の一番の効用は、人の心に訴えかける力だ。

 例えば、この人
http://d.hatena.ne.jp/hachiro86/20080316

そもそも自分はなんで役所で働いているんだろう。就職したときは、今よりもっとひたむきな気持ちをもっていたはずだった。人の役に立とうと本気で思っていた。もちろん、今もそう思っていないわけじゃない。しかし、いつのまにか「仕事」の枠でしかそれを考えられなくなっていた。役所だからしょうがない、というのを、役人である自分自身が言い訳にしている。そして、国が言うから、都が言うからと、できないことは人のせいにして、お仕着せのマニュアルと予算とルーチンワークで仕事をこなし、人様の役に立っている気でいる。

まずい、と思った。すでに自分は腐りかけているんじゃないかと、この本を読んでぞっとした。

 筆者の三枚目で愚直な姿が、「社会をよくしたい」と思っている、あるいは思っていた人たちの心に働きかける。心に火をつける。
 それが大事なんだと思う。

 え? じゃあ、具体的にどうすればいいかって?

 世の中に不満があるなら自分を変えろ。それが嫌なら、耳と目を閉じ、口をつぐんで孤独に暮らせ。