ウェブ社会の思想

ウェブ社会の思想 〈遍在する私〉をどう生きるか (NHKブックス)

ウェブ社会の思想 〈遍在する私〉をどう生きるか (NHKブックス)

 ユビキタス社会とは、社会の様々な分野で個人情報を収集・蓄積し、それに基づいてその人にとって快適なサーヴィスが自動的に行われる社会である。
 その人にどのようなサーヴィスが行われるかは、収集蓄積した個人情報により自動的に割り出される。つまり、ユビキタスのサーヴィスの送り手にとって、その人とは、その個人情報の蓄積のことを指す。
 こうして、「わたし」とあちこちに遍在する個人情報の集合体としての「わたし」との間で、人は整合性を取りながら暮らしていくことになる。
 「わたし」がどういう人間なのか。それは他者を通じた目で分析するしかなく、それは「わたし」の個人情報の集合体から分析されて出た結果が「わたし」であり、「わたし」は社会の中でその「わたし」として生きていくことが自動的に宿命付けられて提供されるように感じられるようになってくる。
 
 なんともまあ、「ウェブ進化論」と比べると、どこか息苦しい雰囲気のお話である。
 
 ネットにつなげば、どこにでもつながれるはずなのに、リアルの物理的枠内、人間関係の枠内のみでしか行動できない人がいる。多いらしい。
 そこからいわゆる「宿命論」的な展開になるんだけど、なんかこれって田舎ものが「俺の人生、ここでこうなって、あそこでああなって、こんな風に終わるんだろうなあ」という全部見えちゃう感覚に近いような気がした。

何が望みだ?
俗悪メディアに洗脳されながら種(ギム)をまかずに実(フクシ)を食べることか?
お前にだってゴーストがあるだろ。
脳だってついてるしネットにもアクセスできる。
未来を作れ

 と言ったのは、草薙素子さんだっただろうか。