代表的日本人
- 作者: 内村鑑三,鈴木範久
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1995/07/17
- メディア: 文庫
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西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮の5人をあげて、欧米化する前の日本と日本人を紹介している。
誰を紹介するか、どのように紹介するかについて、その人の見解が見えるところだが、内村鑑三のキリスト者にしてナショナリスト的な見解によると、清貧にして道徳的で、謙譲の美徳を備えた人物を「代表的日本人」としてあげているように思える。
誰をどのように評価するかは、時代背景やその人によって異なるが、私は上杉鷹山と二宮尊徳の話に感銘を受けた。
鷹山は15万石しかないのに、昔の100万石相当の家臣団や風習を残して負債に苦しむ上杉藩の行革のお話であるし、尊徳は泰平の世の中での農村の荒廃と、その再興のお話である。どちらも、バブル期前後に肥大化した行政とその後の巨額の負債による財政難に陥った自治体行政や、高度経済成長とバブルを経て、成長から停滞、衰退へと向かっている地方経済に重ね合わせて、色々考えるところがあった。