技術の伝え方

 やってみせて 言って聞かせて やらせて見て ほめてやらねば 人は動かず
山本五十六

組織を強くする技術の伝え方 (講談社現代新書)

組織を強くする技術の伝え方 (講談社現代新書)

 2007年問題で、技術の継承が問題になっている。
 そもそも、失われた十年で新規採用をせず、組織の年齢バランスが崩れ、非正規雇用で組織に人間が定着しなくなったことでもはや技術の継承はボロボロなわけなのだが、そこんところどう認識されているのだろうか。
 それはともかく。
 筆者は技術を伝えるにあたって大切なことを、以下のようにあげている。

 1 まず体験させろ
 2 はじめに全体を見せろ
 3 やらせたことの結果を必ず確認しろ
 4 一度に全部を伝える必要はない
 5 個はそれぞれ違うことを認めろ

 第3章 伝えるために大切なこと より

 そして、現状のコーチングがあまりうまくいっていない理由として、「伝えるということばかりに意識が行き過ぎて、伝えられる相手のことを考えていないこと」をあげている。
 そして、技術を受け入れる側は「守破離」の段階を経て、技術を自分の一部として使いこなすことを意識しないといけないのだろう。
 私見だが、時代の変化と技術の陳腐化と競争と格差が激しい現代では、この「離」の段階まで行った人のみが技術者といえるのではないのだろうか。世知辛い世の中である。

 経験と慣れだけで技術を獲得して来た人は世の中にたくさんいます。私はこういう人を「偽ベテラン」と呼んでいます

終章 技術の伝達と個人の成長

 いやはや、手厳しいことで。