悪玉論から卒業を

 『経済学的思考のセンス』の大竹先生のブログ発見。
 インターネットは楽しいな。
 
 http://ohtake.cocolog-nifty.com/ohtake/2006/03/post_06ed.html
 悪玉論は心地よい
 

「格差拡大を引き起こしたのは規制緩和だ」とか
「環境問題を引き起こしたのは大企業だ」とか
「お金がすべてだという風潮を広めたのはホリエモンだ」
という議論はわかりやすいし、自分以外のものに責任を転嫁できるので心地よい。
(中略)
 私たち一人一人のちょっとした行動が、全体としてみると知らない間に大きな問題を引き起こしていることが意外に多い。
こうした問題について、「環境問題に気をつけましょう」、とか「若者の雇用のために賃下げしましょう」と言ったってうまくいくわけがない。自分だけが我慢しても他人が我慢しなければ、損をするのは自分だけだからだ。

 結局、環境問題にしても若者の雇用問題にしてもそれを解決するような規律付けや制度設計が必要なのだ。人々のほんのちょっとしたインセンティブに働きかけて、問題を解決するようなことを考えるべきで、心地よい悪玉論を唱えているだけでは、なんの解決にもならない。

 暗いと不平を言うよりも、すすんで明かりをともしましょう、なんて言うと宗教の人と思われるだろうか。
 大竹先生の本を読んで思うのは、社会を作っているのは、名もない無数の人々のインセンティブなんだなあ、ということ。
 心地よい悪玉論は、問題から眼をそらし、放置し、被害者の面をしながら加害者になる。