新個人主義のすすめ

新個人主義のすすめ (集英社新書 (0427))

新個人主義のすすめ (集英社新書 (0427))

 人に親切にするっていうのは、むずかしい。
 たとえば、バイキングパーティで、ふと気づけば会場の隅でひとりで水だけ飲んでる初老の人がいる。お皿にちょちょいと美味しそうなものをよそって、その人のところにもっていってあげよう。うわー、俺って親切ー。
 でも、その人はひょっとしたらアレルギーがあるかもしれない。若いうちは美味しく感じる油ものも、ひょっとしたら嫌いかもしれない。病気で、食べ物に制限があるかもしれない。あるいは、宗教的文化的にタブーがあるかもしれない。そういった場合、親切心で食べ物を持っていっても、相手を困らせたり、怒らせたりするかもしれない。
 だから、相手を自分の尺度で判断したり、常識と称する特定の価値観を押し付けたりするのではなく、相手のことはその人個人として、きちんと尊重する。そういうスタンスも大切。
 この本で言うところの個人主義とは、自分自身がしっかりと自立しつつ、他者を個人として尊重し、適度な距離感を持って生きていく、ということなのだろう。

 個人主義はつるまない。
 個人主義は他者を認めて調和する。
 個人主義は思いやりの心を大切にする。
 個人主義は不必要に人に干渉しない。
 個人主義は自分の言動に最後まで責任を持つ。
 個人主義は威張らない。
 個人主義は人に無駄をおしつけない。
 個人主義は自分の好みを人におしつけない。
 個人主義は感情に流されない。
 個人主義は約束を守る。
 個人主義は時間を大切にする。
 個人主義付和雷同しない。
 個人主義は流行に流されない。
 個人主義は自分を自分らしく表現する。
 個人主義は家族を大切にする。
 個人主義は規則を守る。
 個人主義は人の話を良く聴く。
 個人主義は貪らない。
 個人主義はいつも静かに。
 個人主義は環境に配慮した暮らしをする。

 そういう生き方も魅力的だ。